乱反射
読書の秋ということで、貫井徳郎さんの「乱反射」という小説を読みました。
プロローグの後、物語は−44章から−43章、−42章とカウントダウンする形で進みます。
それぞれの章で描かれてるのは、ごく普通の日常の風景で、それぞれの登場人物がちょっとしたモラル、マナー違反を犯します。。。
定年退職後に飼い始めた犬の糞の始末をしない老人
街路樹伐採反対を訴えるも、自分が先導するのは邪魔くさいので他人任せにして、良識派ぶってる自己満主婦
昼間の混雑が嫌で、風邪程度で深夜外来を常習する学生
極度の潔癖症が故に樹木検査を怠った造園業者
重大な責任を負いたくないから正式な就職をしないアルバイト内科医師等々。。。
そんな誰しもがちょっとした怠惰や魔が差した的に行う些細なマナー違反の情景がパラレル的に描かれてあり、その積み重ねがバタフライ効果的に膨らみ、ついに0章でひげきは起こる!!
それぞれのちょっとした違反がドミノ倒しのように連なりまだ2歳という幼子が事故に遭い死に至る。。。
0章以降は、今までバラバラに進行してたそれぞれの人物とその行動がどんどん結びついていく。。。
何故息子は2歳という若さで死ななければならなかったのか?
その原因を追求すべく新聞記者である父親が、息子の事故死に関する因果関係を調べていくうちに浮かび上がってくるちょっとしたモラル違反者達。
彼らの違反が招いた結果が息子の死に繋がったと説いても、返ってくるのは「自分は関係ない」と言う無責任な返事ばかり。。。
法に触れるようなあからさまな罪ならともかく、どれもこれもちょっとした罪にも問えないようなちょっとしたモラル、マナー違反程度ってところが余計にタチが悪い!
そういうちょっとした違反て、小説の中だけの話ではなく、現実社会で誰しもが経験あること。
果たして亡くなった子供の両親は救われるのでしょうか?
ちょっとしたマナー違反
で、あなたも知らないうちに誰かを殺してるのかもしれない。。。