お客さんとの打合せで名古屋まで。
アポは午後からだから、新横浜から11時頃の新幹線に乗って、昼メシにはちょっと早いものの車内で駅弁でも食べつつ名古屋へ向かい、そっからさらに電車とタクシーで30分くらいかなと、移動プランは頭の中で出来上がっていたけれど…

なにやら急ぎの仕事とかで、「ついでに納品してきてくれ」と営業から頼まれた。
「ついで」と言うからには、ちょっとしたサンプル品とか書類とか、カバンに入る程度のものを指すのが普通だろう。
依頼の正体は、たしかに親指サイズの小さな製品だった。
だけどその数が…

ざっと数万個、100箱ほどある。
持った感じで1箱10kgくらいだから、ということは全部で1トンって…
いやいや、ちょっと待て、それを「ついで」とは言わないだろう。

結局、新幹線で気楽に行くはずが、荷物満載のハイエースで向かうことに。
運転は好きだし得意だし、ロングドライブも全く苦にしないから、別に嫌なわけじゃないけれど、赤帽3台分の輸送費をケチって、いいように使われてるだけのような気がしないでもない。

荷室に目一杯詰め込んだ鈍重ハイエースは、唸るエンジンに乗らない速度、フラフラと不安定で常に修正舵を要し、高速飛ばすにはあまりに不向きな状態だけど、時間は決まってるからのんびり安全運転というわけにもいかず、片道4時間、全集中で床まで踏み続けることに。
駅弁どころか、SAメシすら食べてる時間なんてないじゃないか。

なんとか無事に着いて、大量に荷下ろしして、精神的にも肉体的にもかなり消耗したけど、ここまではあくまで「ついで」の仕事で、本来の自分の仕事はこの後に。
ただの打合せだから、内容自体はそう難しい仕事ではないけれど、空腹と疲れで集中力が途切れないように維持することの方が大変で。

その打合せも終わって帰り道、身軽になったハイエースは、さっきまでとはまるで別の車のようで、水を得た魚状態というか、ハイウェイをスイスイと自在に泳ぎ回る。
帰宅時間が遅くなることを許容すれば、時間の制約もないし、さすがにお腹空いたから途中のSAでのんびりメシ休憩しつつ、それでも往路と同じく4時間だったのは、重さ次第で走りやすさにそれほどの差があるということでもある。

往復8時間の弾丸ドライブは、さすがにちょっと疲れた。
赤帽3台分浮かせた割に、メシ代だけで消えるわずかな日当じゃ割に合わないなけど、ラー油の効いたピリ辛つけ麺の肉うどんが美味かったから、まぁ良しとしてやろう。