ブランケット症候群って病気なの?原因や向き合い方について解説!

ブランケット症候群とは?

ブランケット症候群とは?

ブランケット症候群の定義は、毛布やタオルケット、ぬいぐるみなど特定のアイテムを持つことで、精神の安定を保っている状態です。何年も使い続けていくうちにボロボロになっても、特定のアイテム特有の肌触りや匂いがあるため他の物では代用できません。特定のアイテムは心理学的用語で移行対象と呼ばれます。子供がいつまで移行対象物に依存するのか心配な親もいるでしょう。ブランケット症候群の原因やよく見られる年齢などについて、参考にしてみてください。

安心できるものへの移行現象であり病気ではない

ブランケット症候群は病気ではなく、子供の発達段階に合った育児の中で生じる移行現象であり健全な成長の一部です。お腹の中で育ち、出産後すぐに始まる授乳など、母と子は直接的な身体の触れ合いを通じて一体性があります。自我の芽生えや自立に向かっていく離乳食期を境に母子の一体性は徐々に弱まっていきますが、子は母との一体性の弱まりにすぐに対応できません。そのときに、生まれてから身近にあった安心毛布がママに代わって心を落ち着かせてくれることに気付き、肌身離さなくなる現象がブランケット症候群になっていくのです。

ブランケット症候群がよく見られる年齢

ブランケット症候群が最も多く見られるのは就学前の幼児期で、一般的に離乳食を始める生後5~6か月頃から大人まで幅広く見られます。毛布など布団類への愛着は7か月~1歳頃に生じやすく、ぬいぐるみなどへの愛着は2歳~3歳頃に生じやすい傾向があるでしょう。ブランケット症候群発症のきっかけは母子一体性の弱まりだけでなく、弟や妹の誕生・断乳・引越し・家族の単身赴任など生活や環境の変化もあるため、発症時期には個人差があります。不安を発散できたり自立心が確立したりすると、自然に消失していくケースが多いでしょう。

ブランケット症候群がよく見られる男女比

ブランケット症候群は、男の子よりも女の子の方が発症しやすいといわれています。その理由として、女の子の方がぬいぐるみや人形を使ったままごとやお世話ごっこなどに親和性が高いことが挙げられるでしょう。ブランケット症候群は毛布やタオルだけでなくぬいぐるみなども移行対象になるケースが多いため、女の子の方がよく見られる傾向があります。

親からの愛情不足とは関連性がない

ブランケット症候群は成長過程で起こる正常な心理なので、親からの愛情不足とは関連性がありません。生後まもなくから始まる母親の献身的な育児により、赤ちゃんは生理的欲求が満たされる内的世界で生きますが、成長するにつれて自分の思い通りにいかない外的現実があることに気付いていきます。母親と一心同体と思われた状態が独立した不確かな状態となり、心もとなさに不安を覚えます。その状況を埋めるのがブランケット症候群なので、愛情不足よりもむしろ親子の適切な関係が築けていると考えてもいいでしょう。

ブランケット症候群と向き合うときに気をつけること

ブランケット症候群と向き合うときに気をつけること

我が子がブランケット症候群の場合、症候群という呼び名に過敏になってしまい病気や愛情不足を疑ってしまう人もいるのではないでしょうか。子供に真摯に向き合っているつもりなのに何が足りないのか、どこを間違っているのかと自分を責めないことが重要です。子供のためにできることを手当り次第探して、新しいおもちゃを与えたり365日24時間手を抜かない育児を志したりしては、親の方がストレスを抱えて親子関係が悪化してしまいます。ブランケット症候群との向き合い方にはいくつか注意点があるので以下を参考にしてみてください。

無理に取りあげずに見守る

ブランケット症候群は発達段階で見られる正常な心理現象で、成長するにつれて消失していくと考えられています。必要以上に心配したり無理に取りあげたりすると、不安が募って愛着が執着や依存に変わり「これがないと何もできない!落ち着かない!」と過度に意識させてしまいます。他の移行対象物に執着したり、取りあげられたことがトラウマになり執着心を隠したりするケースもあるでしょう。特定のアイテムで落ち着く今の状況を見守りつつ、社会性が身に付く就学前になったら離すべき時間や場面について約束をするといいでしょう。

親の声かけや行動で安心感を与える

ブランケット症候群の発症理由はさまざまありますが、母親との分離に対する不安が根底にあることには変わりありません。片時も離れずにいることは難しくても、その場を離れるときには「すぐに戻るから待っててね」と声をかけたり、戻ったら「ただいま」「待っててくれてありがとう」と伝えたりして子供が安心できる言葉をかけてあげましょう。「待っていたら本当に戻ってきた」「いなくなったりしない」と子供が感じられる経験が積み重なれば、分離への不安は和らいでいきます。

衛生対策に困らないよう同じものを用意するなど配慮する

ブランケット症候群では、洗濯のタイミングに悩まされることもあるでしょう。生地は同じでも、使用感による匂いや肌触りが違うと落ち着かなかったり、タグの部分がお気に入りで触り続けたりする子もいます。洗濯の間でさえ手放すことを嫌がる場合は、可能な限り小さいうちから同じものを複数用意して交互に渡すようにしたり、一緒にお風呂に入る名目で洗濯洗剤で洗ったりと工夫してみてください。使い続けていくうちに付く自分や家の匂いに落ち着く子もいるので、身体に害が出るほどの汚れでなければ目をつぶってあげてもいいでしょう。

ブランケット症候群と発達障害の判断基準

ブランケット症候群と発達障害の判断基準

強すぎる執着心やこだわりに発達障害を疑うこともあるでしょう。ブランケット症候群と比較される障害は色々ありますが、特定のアイテムに対する執着が自宅のみなのか外出時もなのかが判断のポイントです。日常生活で困ることがあれば、自治体の子育て相談や病院で相談してみるといいかもしれません。

ブランケット症候群は温かく見守ることが大切

ブランケット症候群は温かく見守ることが大切

ブランケット症候群の発症時期として多い生後5~6か月の時期は、赤ちゃんにとって毎日が刺激で満ち溢れています。赤ちゃんの頃には見られなかったブランケット症候群が幼児期になってから見られるようになった場合には、子供を取り巻く環境に何らかの変化がないかアンテナを張ってみましょう。大人でも環境の変化や初めてのことには緊張するように、子供も不安感を移行対象物で鎮めていると思えば不思議なことではありません。障害との判断基準を押さえて移行現象が過度でなければ、子供のペースに合わせて優しく見守りましょう。