続きのような

男はどうだとか、女はなんだとか、あるいは男／女らしさとか、つい性差をベースに思考してしまいがちだけど、実際には男にも女にもいろんなタイプがいて、正しくは性差というより個人差と捉えるべきなんだろう。
昔流行った「話を聞かない男、地図が読めない女」は、その続編も含めて当時とても興味深く読んだ記憶があるけど、いまどきあんなの出版したら炎上するのかもしれない。

かつて情報の発信源は、テレビ局とか新聞社とか出版社とか、一部のマスメディアが握っていて、文字通りマスに支持されそうなマスな情報を一方的に垂れ流すだけだから、マス（大衆、多数派、マジョリティ）の意見だけが世の中の全てのように錯覚する側面もあったと思う。
それが今の時代、Xとかインスタとか、あるいはこの日記だってそのひとつだけど、SNSが広く浸透したことで、誰でも簡単かつ自由に情報発信できる世の中になって、かつては見えなかったマイノリティが可視化されるようになった。
しかも多数派/少数派にかかわらず、どの情報も優先度や重要度に明確な差がないというか、ひとつのプラットフォーム上でフラットに表示されるから、一見どちらが優位なのかわからない。
ここ何年かで多様性などとよく言われるようになった要因として、マイノリティの可視化やマジョリティとのフラット化が強く影響してるんじゃないかと思う。

とは言え、男と女はやっぱり違う。
個々には個人差でも、マクロ的な傾向としての性差はハッキリとある。
生殖器の凸と凹が象徴する肉体的な性差はもちろんだけど、古の狩猟時代から受け継いでいるDNAには進化生物学的な性差があるだろうし、農耕による集団生活で発達した社会や文化にも性差があって、それらの影響を受ける個人の価値観にも性差があると捉える方が自然だと思う。

もちろん性差はあっていい。
というより、あった方がいい。
磁石のS極とN極じゃないけど、違ってるからこそ惹かれ合うものだろうし、異質なもの同士が溶け合って混ざり合うことで無限のグラデーションが生まれ、それこそまさに多様性なわけで。
逆に性差をフラット化して均質化すると、むしろ多様性は失われてしまう。
実際、だんだん失われつつあるように感じるのは、たぶん気のせいじゃないだろうなと。

社会の流れは変えられなくても、せめて身近に実感できる範囲くらい、せめて束の間の非日常くらい、異質な性差を強く意識して楽しみたい。
人としてというより男と女として、もっと言えばオスとメスとして。
フラットじゃない凸と凹の融合で（笑）