富のピラミッド
たまたま偶然だけど、先の日記に金型保管料を…とか書いてたら、そのものズバリのニュースが報じられていた。
トヨタ系のメーカーが下請け業者に大量の金型を長期間タダで保管させていたとして、下請法違反で公取委から是正勧告を受けたと。
この業界に長く携わる身からすると、正直なところ「何を今さら…」という感じが強い。
話はトヨタに限らないし、業界の常識として昔から当たり前に行われてきた商慣行なわけで。
車は数年間隔でモデルチェンジする。
かつては新車投入から2年でマイナーチェンジ、4年でフルモデルチェンジ、というのがお決まりだったけど、2000年代に入った頃からだろうか、そうした決まりはだんだん薄れていって、最近では5年以上が普通だし、10年近くモデルチェンジなしで引っ張るケースも珍しくなくなった。
モデルサイクルが長くなったとは言え、いずれ必ず現行モデルは生産終了になる。
終了に合わせ、金型をはじめとする生産設備も全て無用になるかと言えば、そうもいかない。
サービス部品とか補給部品などと呼ばれるけど、生産は終了してもその車の寿命は短くて10年、長ければ20年くらい、メンテナンスとか事故修理とかで部品交換が必要になることは普通にあるわけで、その部品注文に対して「金型がないからもう作れません」ではメーカーとしての責任が果たせないから、生産終了後も長期間に渡って金型を保管しておくことになる。
ただ、部品交換などそうそう頻繁にあるわけじゃないから、注文はごく少数がたまにあったり、あるいは全くなかったり。
それでもいつか必要になるときがあるかもしれないからと、ほとんど使いもしない金型をいつまでも保管し続けることを求められる。
大きいものなら1辺が2, 3mある鉄の塊は、工場の限られたスペースを圧迫し、邪魔以外の何ものでもない。
しかも土地代とか建屋代とか、そのスペースにも1uいくらのコストがかかっている。
それをタダ置いておけと言うのだから、どんだけ優越的地位の濫用だよって話で。
というのはほんの一例で、挙げればキリがないほどこの手の話はいくらでもある。
昨年度の利益は5兆*を軽く超えたらしい。
トヨタ自身のみならず、日本企業全体で見ても過去最高益だと。
その裏でどれだけの企業とそこで働く人たちから搾取しているのか。
豊田会長は「主権を現場に戻す」とか言ってるけど、彼の見ている現場とは上澄みのほんの一部でしかなく、本当の現場をどれだけ知っているのだろう。
という堅い話もたまに書いておかないと、ただのスケベオヤジと思われてもね。
スケベは否定しませんが(笑)