あなたが思うあなたはどんな姿ですか?
気に入らないところはありますか?

　わたしにみえるわたしは表情がみえない。
　まるでのっぺらぼうのようである。
　なにをかんがえているかわからない。
　うれしいのかかなしいのかくるしいのか、それすらもうかがいしることができないのだ。
　気に入らないところだらけだ。全てが気にくわないといっても過言ではないだろう。鏡に映ったわたしの姿を見たとき、なんだこの気持ち悪い生き物はと、思わず殴り付けてしまい、わたしのこぶしは鏡の破片が突き刺さって、血まみれになってしまった。それも昔のことである。今では、鏡にもなにも映らないのだ。なにも。


今までで辛かったことは何ですか?


　辛かったこと。生きていて辛いことばかりだが、わたしの存在そのものを否定されたときほどつらくかなしいことはない。
　なんであなたみたいなのを産んでしまったの?
　きみ、生きてる意味あるのかい?
　わたしに出来ることなど、それらの言葉を吐いた者の醜悪な顔を思い出し、溜飲を下げるくらいである。
　そして、そんな自分の顔がおそらくいちばん醜悪な顔をしているのである。



どんな人生にしたいですか?



　それ以前に疑問がある。
　果たして、わたしは生きていていいのだろうか。
　誰かと比較され、自分がいかに無能かと思い知らされ、そんな日々が続く中で、わたしは生きていていいのだろうか。

　きみは無能だから、ごく一般的な人生を送る権利を消失してしまったんだよ。なんで、こんなとこにいるんだい?ここは、きみのいるところではないんだ。さあ、出て行きたまえ。

　そんなことを言われているようで。
　苦しくて。苦しくて。
　
　人生に先があるなんて、おこがましいじゃないですか?
　もう、ゲームオーバーですよ。残機ゼロです。
　当然、コンテニューなんて機能はありません。
　さよなら。さよなら。

　そんな最後通告を受けた気もするのである。

　どうする?
　きみはその気にさえなれば、きみを追放宣言した者の首を今すぐ刎ね飛ばして、そいつの生存権を奪い取ることができるんだ。
　悔しくはないのかい?
　きみを邪険にするやつらを皆殺しにしたっていいんだ。
　邪魔者を全て排除すれば、きみはきみの好きなように、やりたいように生きることができるんだよ?
　そう、想像する事は自由だからね。
　君は、自分が生み出した想像の世界で生きていけばいい。
　それも、ひとつの選択だ。
　現実の世界で苦しみながら生きていくか
　想像の世界で好きなように生きていくか

　え?
　きみは、そのどちらも選ぶというのかい?
　わがままなやつだな。
　きみは。
　でも、それもいいじゃないか。
　さあ、もう時間だよ。
　いきなさい。
　

　そうして、先の見えないまっくらな道をかれはあかりさえ持たずに歩いていった。
　いまにも泣き出しそうな顔で、ほほえみながら。