二月尽、艶やかな余韻を残して
目が覚めたのは、いつもより少し遅い時間だった。
カーテンの隙間から射し込む光が、白いシーツの上で細長く伸びていて、それを見ていたら何だか時間が止まったような気がした。今日で、2月が終わる。
冬の終わりの空気は、まだどこか湿っていて、でも確かに何かが変わろうとしている。風が頬をかすめるたびに、春の匂いが鼻先をくすぐる——土の匂い、誰かのコートに残る柔らかな香水、濡れたアスファルト。全部が混ざり合って、胸のどこかをじわりと締め付けた。
明日から3月。
梅の花が、もう散りはじめている頃だろうか。春は焦らしながら近づいてくる——姿を見せそうで見せない、あの感じが、ずっと昔から好きだ。
今夜のこの静けさを、もう少しだけ手のひらに包んでいたい。
明日になれば、また季節が変わる。
それでいい。