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ヴェネツィア本島を海上タクシーでぐるりと半周すればサンマルコ広場前の船着き場だが、そこに到着するまでにはいろんな船舶と出会う。
外海は深く、大型客船も係留できるようになっているので、世界一周できるような大型客船も見られる。

その他、中小のボートが疾走するので思いのほか波は高い

そもそもなぜヴェネツィアは陸地から離れてこのような珊瑚礁みたいな不便なところに、丸太を打ち込み岩石を入れて埋め立て都市を造ったのか

添乗員.美和子さんの話によれば、外敵からの攻撃を防ぐためだった。
ここに大陸国家の宿命がある。
陸続きだから容易に人、モノ、金は移動できる反面、簡単に外敵の侵入を許してしまう。
だから都市国家は周囲を高い塀で囲まざる得ない。
ローマもパリもそうだ。旧市街地は今でも高い石塀の跡がある。

一方、ヴェネツィアの場合は塀の代わりに海で囲った。そして当時第一級の造船技術を持っていたので世界最強の海軍をもつに至り、もはやヴェネツィアを侵略しようなどと思う敵はいなくなった。
普通だったら、ここで世界に覇権を広げるところだが(実際それから１世紀後にはスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスと海軍力で世界の覇権が争われた)、商人気質が強く平和主義のヴェネチア人は地中海を中心とした貿易で莫大な富を得て世界一の海洋国家となった。
ここに晴れて世界一豊かなヴェネツィア共和国の誕生となる。時は8世紀ころから始まりルネッサンスが萌芽したころが全盛期だ。日本では平安から室町時代の頃だ。

この事実はどこかの国に似てないだろうか
そう、私たちの国、日本だ。
日本は周囲を四海(太平洋、日本海、オホーツク海、東シナ海)に囲まれ海洋国家として発展し、一時は世界一の海軍力を持つに至った。

その後、世界を相手にした技術、貿易大国にもなり実質GDP世界第二位(中国の二位は粉飾)を誇るにいたった。

だが、自衛力の不安定さは古代ローマ帝国に滅ぼされた同じ海洋、商業国家のカルタゴとも似ているのが不安だ。

こんなことを考えていたら、やがて海上タクシーは船着き場に到着した。
さぁ　ヴェネツィアの中心部に上陸だ


... つづく

(画像は外洋から望むヴェネツィア本島。
アラブ富豪の豪華クルーザー船も係留していた。高い尖塔をもつドゥカーレ宮殿。
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